いつかまたステージに立つ事を願って

この部屋はきっと盗撮されているに違いない、そう信じていると言っていたアーティストLOVERSの被害妄想はやはり杞憂に終わったようでした。以前から総合失調症を疑われ、たびたび精神科に通う事を薦められていましたが、頑なにこれを拒否。アーティストにありがちなヘロインでもやっているのかと噂されたほどです。
しかし人気アーティストともなればその分ストレスも溜まります。精神許容量が溢れてしまうこともあるでしょう。これを脆弱と責めるのはあまりに酷、喪失感にも似た虚無感が彼の精神を深淵に剥落させたはずなのです。
事実とは異なる思い込みとは言えど、彼の精神を蝕むには充分でした。彼は常に見られる立場。それが盗撮という形となって彼の脳幹にこびり付いてしまったのでしょう。